総合内科で診る
病気について

総合内科では何科で診てもらったらよいかわからない病気も扱います。クリニックだけでは診断できない病気も多いので、必要に応じて連携医療機関に紹介して検査をしてもらいます。
- 線維筋痛症
- 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)
- 機能性身体症候群(FSS)
- 胃食道逆流症(GERD)
- 機能性ディスペプシア(FD)
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 起立性調節障害
- 家族性地中海熱
- リウマチ性多発筋痛症
- 膠原病
- アナフィラキシー
線維筋痛症
痛みには体性痛や内臓痛など臓器の異常に由来する侵害受容性疼痛と帯状疱疹後神経痛などの神経障害性疼痛、そして第三の痛みとして痛覚変調性疼痛があります。痛覚変調性疼痛は痛みの発生に関わる脳の神経回路の変化で起きる痛みで、神経や組織の損傷が一般的な検査では認められないのに痛みを感じます。この痛覚変調性疼痛の代表疾患が線維筋痛症です。診断にはアメリカリウマチ学会(ARC)分類基準1990を考慮しながら20年ぶりに改訂されたARC予備診断基準2010を用います。
ARC線維筋痛症診断予備基準2010
次の3つの条件があてはまれば線維筋痛症と診断されます。
- 1)
- 広範囲の疼痛指標(WPI)が19か所中7か所以上あてはまり症状の重症度(SS)スコアが5以上となった場合、あるいはWPIが3から6か所でSSスコアが9以上となった場合※。
- 2)
- これらの症状が少なくとも3か月以上続いていること。
- 3)
- 疼痛を説明する他の疾患がないこと。
※WPIとは全身19か所(①左肩、②右肩、③左上腕、④右上腕、⑤左前腕、⑥右前腕、⑦左腰部、⑧右腰部、⑨左大腿、⑩右大腿、⑪左下腿、⑫右下腿、⑬左顎、⑭右顎、⑮左背部、⑯右背部、⑰胸部、⑱腹部、⑲頸部)のうち過去1週以上にわたり痛みが持続する部位の数で0から19になります。
SSスコアは
①疲労感、②起床時にすっきりしない感じ、③認知症状の3つについて、過去1週間の重症度を
- 0=問題なし
- 1=やや問題あり、緩やかで一時的な程度
- 2=かなり問題あり、しばしば現れ、中くらいの程度
- 3=ひどい、広範囲にわたる持続的な症状で、生活上の問題を及ぼす程度
の0~3でスコア化したもの(3つの合計は0~9)と
④患者が有している全身の身体症状について
- 0=症状なし
- 1=2~3つの症状あり
- 2=中等度の症状あり
- 3=多数の症状あり
の0~3を合わせて評価します。SSスコアの合計は(0~9)+(0~3)の0~12となります。
3)の「疼痛を説明する他の疾患がないこと」の証明は重要です。身体診察の他採血や尿検査、画像検査など多くの検査が必要となります。ARC分類基準1990では18か所の圧痛点を4kgの重さで押したときに11か所以上に圧痛を認めることや痛みの部位が広範囲であることの定義(身体左側、身体右側、腰部から上、腰部から下、躯幹中心部のすべてに痛みが存在)といった客観的な指標が示されていましたが、2010では痛みだけでなく疲労や睡眠、認知なども含めた自覚症状が重視された基準となりました。線維筋痛症の原因は脳の免疫系の異常などが仮説にあがっていますがまだはっきりはしておらず、治療はデュロキセチンやプレガバリン等の薬物治療と生活指導による対症療法が中心です。他の機能性身体症候群と併存することも多く、精神科や脳神経内科、消化器内科、麻酔科(痛み外来)などと必要に応じて連携します。線維筋痛症の痛みは本当につらいものです。日々の研究の成果がでてより良い治療法が見つかることに期待します。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)
これまで健康に生活してきた人がある日から急に日常生活が送れなくなるほどのひどい倦怠感や疲労感に見舞われ、休息しても回復せず、色々検査をしても異常がない状態で6ヶ月以上経過したら筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の可能性があります。ME/CFSの原因は不明で発症前に感染症や予防接種、毒物曝露、トラウマなどのきっかけがある場合とない場合があります。女性に多く疲労・倦怠感の他、微熱や体の痛み、リンパ節腫脹、筋力低下、立ち眩み、思考力や集中力の低下などの症状が出る場合が多いです。突然発症でない場合もあり、良くなったり悪くなったりして、軽作業ができるときもあれば寝たきりになる時もあります。2017年に策定された日本の診断基準(案)は以下のごとくです。
-
6ヶ月以上続く持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)
- 強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下(病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。過労によるものではなく休息によっても改善しない。別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、PS 3以上の状態であること)
- 活動後の強い疲労・倦怠感(活動とは身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む)
- 睡眠障害、熟睡感のない睡眠
- 認知機能の障害、起立性調節障害のいずれかを認める
- 別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する(別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)
別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査
尿検査(試験紙法)、便潜血反応(ヒトヘモグロビン)、血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)、CRP、血沈、血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)、甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体、心電図、胸部単純X線
別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態
臓器不全(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など)、慢性感染症(例;AIDS、B型肝炎、C型肝炎など)、膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患(例;SLE、関節リウマチ、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など)、神経系疾患(例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ頭部外傷など)、系統的治療を必要とする疾患(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など)、内分泌・代謝疾患(例;糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全、など)、原発性睡眠障害(例;睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど)、精神疾患(例;双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など)
別表1-3. 共存を認める疾患・病態
(1)機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome: FSS)に含まれる病態、線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症、月経前症候群、片頭痛など、(2)身体表現性障害(DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)、(3)その他の疾患・病態:起立性調節障害(OD):POTS(体位性頻脈症候;postural tachycardia syndrome)を含む若年者の不登校、(4)合併疾患・病態:脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)
別表2. PS(performance status)による疲労・倦怠の程度(PSは医師が判断する)- 倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる
- 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある
- 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、全身倦怠感の為、しばしば休息が必要である
- 全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である※1
- 全身倦怠感の為、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である※2
- 通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である※3
- 調子のよい日は軽労働は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している
- 身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である※4
- 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している※5
- 身の回りのことはできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている
疲労・倦怠感の具体例(PSの説明)
※1 社会生活や労働ができない「月に数日」には、土日や祭日などの休日は含まない。また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。※2 健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。※3 フルタイムの勤務は全くできない状態。ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的負担の軽い労働を意味しており、身の回りの作業ではない。※4 1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。※5 外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。
6ヶ月以上症状が続いていることや別表1-2の疾患を除外するために別表1-1以外の精密検査や専門医受診が必要であることなどから診断はとても難しく時間がかかります。この病気は本当につらいので何とかしてあげたいのですが特効薬がないため、つらい症状をとる薬(対症療法)や漢方薬で治療をし、必要な場合は社会的支援のお手伝いをいたします。以前は運動が推奨されていましたがその後運動は病状を悪化させることが分かり推奨されていません。日々研究が進められており良い治療法が見つかることに期待します。
機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)
線維筋痛症(FM)や筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)など、日常生活に支障をきたす身体症状があるにもかかわらず適切な診察や検査を行っても(検査データの)異常を明確に指摘できない病態の総称として機能性身体症候群があります。FMやME/CFSの他、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、緊張型頭痛、非心臓性胸痛、慢性骨盤痛・外陰痛、過活動膀胱、咽喉頭異常感症、むずむず脚症候群、顎関節症、筋・筋膜痛症候群など総合内科で診る病気も多く含まれます。これらは併存することもあり、うつ病や不安症などの精神疾患と合併することもあります。検査で異常がでないため診断がとっても難しく、診断基準に照らし合わせてこれらの病気を正しく診断することは総合内科医の腕の見せ所です。診察や検査を適切に行わずに安易にFSSと診断することは避けなければなりませんので、FSSの診断には多くの労力と時間が必要となります。現時点で異常を検出できる一般的な検査がない訳ですが、日々の研究により原因がはっきりして診断や治療がしやすくなることに期待します。
胃食道逆流症(GERD)
夕食に脂っこいものを食べて寝たときに胃酸がのどまで上がってきた経験はありませんか(呑酸と言います)?これが一晩だけでなく日中もあり、しかも何日も続くとつらいですよね。通常は食道下部の筋肉(括約筋)がキュッと締まって胃内容物の逆流を防止していますが、この括約筋の機能が低下して胃内容物が食道に逆流し、呑酸や胸やけ、胸痛、咳、のどの違和感、睡眠障害などの症状を来したものが胃食道逆流症(Gastroesophageal reflux disease: GERD)です。GERDには内視鏡で食道に炎症を認めるびらん性GERD(逆流性食道炎)と認めない非びらん性GERD(NERD)があり、NERDの方が多いとされます。逆流性食道炎は加齢や男性、生活習慣(飲酒、喫煙、高脂肪食、寝る直前の食事等)、体格(肥満、円背等)、食道裂孔ヘルニア、ピロリ菌の除菌などと関連し、胃酸の分泌を抑える薬が有効の事が多いですが、NERDは女性、非喫煙者、低体重者に多く、食道裂肛ヘルニアが少なく胃酸分泌を抑える薬が効きにくいという違いがあります。NERDには「食道の知覚過敏」の関与が言われており、わずかな胃酸の逆流や逆流以外の刺激で症状が出てしまうため胃酸分泌を抑える薬だけでは症状が改善しないことも多いです。NERDは機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などと合併することもあり、機能性身体症候群(FSS)として総合内科的な治療を行うと有効なこともあります。内視鏡的に重症の逆流性食道炎では出血や食道狭窄、食道腺癌などの合併症の予防も重要です。診断やフォローアップには内視鏡検査が必要ですので専門医療機関と連携しながら治療にあたります。
胃酸の分泌を抑制する薬にはヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、カリウムイオン競合型酸ブロッカー(PCAB)があり、後者ほど効果が強いとされます。GERDはこれらの薬で治療をしますが、治療終了後に再発してしまい、維持療法として長期間の投薬が必要になる方も多いです。何年間も強力に胃酸分泌を抑制すると胃酸で死ぬはずの細菌が生き残って腸管感染症をおこしたり、カルシウムやビタミン、鉄、マグネシウムなどの吸収が悪くなったり、慢性的な下痢の原因になったりすることもありますので必要最低限で投薬しつつ、定期的に診察や検査をしてフォローいたします。
機能性ディスペプシア(FD)
慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの上腹部症状があるのに、色々検査しても異常がない場合は機能性ディスペプシア(functional dyspepsia: FD)かもしれません。FDは機能性身体症候群(FSS)に含まれ、胃や十二指腸と脳、それらをつなぐ神経のどこかに検査では判らない機能の変調があり辛い症状がでるものです。治療は生活指導を基本とし、薬は消化管運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬、漢方薬、抗鬱薬などから個々の患者様に合わせて選択します。内視鏡検査は必須ではありませんが、高齢者や胃癌/食道癌の家族歴のある方、体重減少や繰り返す嘔吐、発熱、腹部腫瘤、嚥下障害、出血などがある方、4~8週間治療してもよくならない方などは胃癌などの器質的異常の除外のため内視鏡検査が必要です。内視鏡検査をしないと保険診療が認められない検査や治療薬もありますので必要に応じ専門医療機関と連携します。FDは命にかかわる病気ではありませんが症状により生活の質が落ち、心理社会的因子が関連して治療も長期間になることが多いです。総合内科的視点からしっかり治療に当たりたいと思います。
過敏性腸症候群(IBS)
小食で油をあまり摂らない、朝食べない、運動しないなどの生活習慣からくる便秘症とは違い、心理的ストレスや腸管の知覚過敏によって脳腸相関(腸と脳が自律神経を介してお互いに影響し合う事)のバランスが崩れて腹痛や腹部不快感を伴う便秘が続くものが便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)です。過敏性腸症候群にはIBS-Cの他、軟便や下痢が主体で朝の通勤中に強い便意を催してしまうこともある下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)、便秘と下痢の両方がある混合型過敏性腸症候群(IBS-M)などがあります。 発症にはストレスの他、腸管感染や遺伝的要因が関連するとも言われますが、採血や尿、便検査、大腸内視鏡検査などで異常が見つからないため機能性身体症候群(FSS)に含まれます。診断に際し、50歳以上で発症した方や、発熱、血便、関節痛、体重減少、腹部の触診異常、血液・便検査異常など大腸癌や炎症性腸疾患を疑う場合は大腸内視鏡検査が必要のため専門医療機関と連携します。治療はまず食事療法や運動療法を行い、IBSの型に応じて腸管に作用する薬剤を処方し、改善無い場合は心理的な側面を考慮した治療を追加します。IBS、FD、NERDはそれぞれ合併することも多いです。
起立性調節障害
出血や脱水、薬剤などの影響で起立時に血圧が低下し失神の原因になる起立性低血圧とは少し概念が異なり、①朝起きられなくて特に午前中調子が悪いことを中心に、②立ちくらみやめまい、③頭痛、④腹痛、⑤動悸、⑥倦怠感、⑦吐き気や気分不良、⑧食欲不振、⑨顔色不良、⑩失神、⑪乗り物酔いなどの症状を来すものが起立性調節障害です(①~⑪のうち3つ以上必要)。起立性調節障害は交感神経や副交感神経といった自律神経の機能不全が原因で、概日リズム睡眠障害と深い関係があると言われます。診断にはまず診察と血液検査、心電図、心エコー、必要に応じて連携医療機関でMRIや脳波等の検査をして「器質的疾患」が無いことを確認し、起立試験により血圧と心拍の変化を観察します。起立直後に血圧が低下してなかなか回復しないパターンや時間がたってから血圧が低下するパターン、血圧は低下せず脈拍が上昇し続けるパターンなどがあります。血圧や脈拍が正常パターンの場合や治療効果が乏しい場合などは適応障害や睡眠障害としての対応が主体となる可能性があり、専門医療機関と連携して治療にあたります。
家族性地中海熱
発熱を伴う胸部や腹部、関節等の痛みが2-3日続き自然に治るということを1-2ヶ月に1回繰り返している方は家族性地中海熱かもしれません。遺伝子変異等により炎症を抑える蛋白質の機能が異常をきたし病原体などの異物がいないのに炎症が起きてしまう「自己炎症性疾患」に分類される病気です。地中海周辺だけでなく日本人でも発症し、家族性(遺伝性)の無い方も多いです。本稿執筆時(2025.1)の診断基準では12-72時間続く38℃以上の発熱を3回以上繰り返すことが必須となっていますが、経験上発熱期間や最高体温が毎回これを満たすとは限らない印象です。発熱時は痛みや採血の炎症所見(CRP等)高値を認めますが、間欠期にはこれらが正常化するのが特徴です。感染症や膠原病、悪性腫瘍など他の発熱性疾患を除外する必要があるため、連携医療機関と協力して診断いたします(遺伝子解析は大学病院への紹介となります)。治療は長期にわたるコルヒチンの内服が基本です。罹患中に炎症性腸疾患やリウマチ性疾患、アミロイドーシス等を合併することがあるため注意深く経過観察します。コルヒチン無効又は不耐かつ発熱発作頻回例やアミロイドーシス合併例は指定難病となります。
リウマチ性多発筋痛症
50歳以上の方で、ある日突然首から両方の肩、上腕が痛くなって万歳ができなくなり、発熱、食欲不振、倦怠感、朝のこわばりなどが続いたらリウマチ性多発筋痛症(PMR)かもしれません。食事がとれず体重が減り、うつ状態や痛みで動けず入院する方もいて、総合内科では多くの患者様を診させていただきました。痛むのは体幹に近い部分(首、肩、腰、臀部、股関節、上腕、大腿)が主で、朝にひどいことが多いです。リウマチとは違う疾患で、他の膠原病や感染症も除外する必要があります。ステロイドホルモンで治療を開始し、症状やデータが改善したら徐々に薬を減らし1-2年で中止できる方もいれば、別の免疫抑制剤を追加せざるを得ない方もいます。悪性腫瘍を合併していることも多く、診断時だけでなく治療中も定期的な悪性腫瘍のチェックのため連携医療機関と協力して診療いたします。
膠原病
細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために私たちの体には「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムの異常で食物や花粉などに過剰に反応する病気がアレルギーですが、自分の体の細胞を外敵と間違えて攻撃してしまう病気が自己免疫疾患です。膠原病は自己免疫疾患に分類され、あちこちの関節が攻撃される関節リウマチや、唾液腺や涙腺が攻撃されるシェーグレン症候群、血管が攻撃される血管炎、複数の内臓や皮膚が攻撃されるSLE、強皮症、皮膚筋炎、多発筋炎など多くの疾患が含まれます。これらの膠原病の確定診断と初期治療は比較的難しいため総合病院で行われることが多く、原因不明の発熱で総合内科に入院し膠原病と診断された方も多いです。膠原病の治療はそれぞれの疾患により異なりますが、ステロイドなど免疫の働きを抑える薬剤を使用する事が多く、治療期間も年単位で、良くなったり悪くなったりを繰り返す方も多いです。初期治療を終えて安定した方については専門医療機関と連携しながら薬の調節や副作用のチェック、病気の勢いのチェックなどを行ってまいります。